【3Dプリンタで靴を自作する楽しさとこれからの可能性】
はじめに
近年、家庭でも手軽に3Dプリンタを使って自分だけの靴を作ることができるようになりました。以前は専門的な機械や技術が必要で、プロの技術者だけが扱えるものでしたが、現在ではプリンタの性能向上と価格低下により、高校生でも挑戦できる時代になっています。自分の足にぴったり合った靴をデザインし、自宅で作る体験はとてもわくわくします。オリジナルデザインと機能性を兼ね備えた靴を自分で作れるという点で、ものづくりの魅力が詰まっています。
もちろん、良いことばかりではなく、難しい部分や時間がかかる工程もあります。この記事では、3Dプリンタで靴を作る方法、必要な道具、注意すべきポイント、そしてこれから期待される未来の可能性について、わかりやすく解説していきます。
3Dプリンタで靴を作るとは?
3Dプリンタで靴を作るとは、パソコン上で作成した靴の3Dモデルを基に、プリンタで部品や靴そのものを造形することです。自分の足に合わせたサイズや形、好きな色や模様の靴を作ることができ、通気性やクッション性などの機能面も自分好みにカスタマイズできます。最近ではスマートフォンのアプリを使って、簡単に自分の足を3Dスキャンすることもできるので、より正確にフィットする靴作りが可能です。
3Dスキャナには「3DMAKERPRO MOLE」がおすすめです。MOLEは高精度なスキャンが可能で、細かな凹凸まで正確にデータ化できます。靴作りに必要な足の形状を正確にスキャンできるだけでなく、初心者にも扱いやすく、セットアップも簡単です。暗い色や光沢のある素材にも強く、スキャン精度の高さが安心感につながります。
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【図1:3Dプリント靴の制作フロー】
工程 | 説明 |
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足の3Dスキャン | 3DMAKERPRO MOLEで足の形状を正確にスキャン |
デザイン作成 | Rhino 8で靴の3Dモデルを作成 |
スライスデータ作成 | スライサーソフトでプリント用データに変換 |
プリント | CREALITY K1 Maxでパーツを造形 |
組み立て&後処理 | 部品を組み合わせ、仕上げ処理を実施 |
フィット感チェック | 実際に履いて調整箇所を確認 |
微調整 | 必要に応じて再加工や中敷き調整 |
靴作りの魅力と可能性
自分で靴を作ることには、特別な意味があります。既製品の靴が合わずに困っている方でも、自分の足に合わせたカスタムシューズなら快適に歩けます。ものづくりの楽しさを体験しながら、オリジナルの靴を完成させることができるのは貴重な経験です。今後は、オリジナル製作がもっと身近になり、ますます人気が高まることでしょう。
必要な道具とソフトウェア
靴作りには家庭用の3Dプリンタが必要です。おすすめは「CREALITY K1 Max」です。K1 Maxは高速で安定したプリントができるモデルで、靴のように大きなサイズの造形にも適しています。初心者から上級者まで満足できる性能です。
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【図2:CREALITY K1 Maxの特徴まとめ表】
特徴 | 説明 |
大きな造形サイズ | 最大300mm×300mm×300mmまで対応し、大人サイズの靴もOK |
高速プリント性能 | 最大600mm/sで時間短縮が可能 |
柔軟素材対応力 | TPUやTPEなど柔らかい素材も安定プリント |
自動レベリング機能 | ベッドの水平を自動で調整し失敗を減らす |
強力な冷却システム | 印刷品質を安定させる冷却性能 |
デザインには「Rhino 8」をおすすめします。靴作りに特化した機能が豊富で、初心者でも扱いやすいソフトウェアです。サブスクリプションのソフトが多い中、この「Rhino 8」は買い切りなのも特徴です。このバージョンからMacのM1シリーズのCPUに対応しました。推奨メモリは16MBからとなります。
【図3:Rhino 8のメリットまとめ】
理由 | 説明 |
自由な曲面モデリング | 靴の滑らかなカーブや複雑形状を得意とする |
専用プラグイン対応 | 『3DShoemaker』などで効率良く靴デザイン可能 |
学びやすい環境 | チュートリアルや解説動画が豊富 |
高精度の設計機能 | 細かい寸法設定やパーツの調整が簡単 |
クラウド連携機能 | データ共有や保存がしやすい |
材料選びのポイント
靴作りに適したフィラメントとしては「TPE(熱可塑性エラストマー)」が特におすすめです。TPEはゴムのような柔らかさを持ちながら、高い耐久性と弾力性があり、靴のアッパーやソールに最適です。歩行時の衝撃吸収性にも優れており、快適な履き心地が実現できます。
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【図4:TPEのメリット一覧】
メリット | 説明 |
衝撃吸収性 | 歩行時の衝撃を和らげる |
高耐久性 | 摩擦や曲げ伸ばしにも強い |
プリントしやすさ | 柔らかさがありながら安定したプリントが可能 |
柔軟性 | 履き心地が良く、長時間歩いても疲れにくい |
環境にやさしい素材 | 一部リサイクル対応のフィラメントも存在 |
プリント工程の詳細ステップ
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モデルの準備 デザインした靴の3Dモデルデータ(STL形式)を用意します。モデルは水密で隙間のない状態にしておきましょう。
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スライシング スライサーソフトで3Dモデルをプリンタが読めるGコードに変換します。使用するフィラメントに合わせて温度や速度、サポート材を設定します。特にTPEは細かな調整が必要です。
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プリント開始 プリンタにフィラメントをセットし、プラットフォームが水平であることを確認します。プリント中はトラブルがないかを随時確認しましょう。
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サポート材の除去 プリント後はサポート材を丁寧に取り除きます。柔軟な素材はサポート材が剥がしにくいため、慎重に作業します。
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仕上げ処理 表面のざらつきや余分な部分をヤスリで仕上げます。必要に応じて熱を加え、滑らかに成形しましょう。
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組み立て アッパーとソールを接着する際は専用接着剤を使います。圧着し、十分な時間乾燥させて完成です。
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フィット感の確認と調整 完成した靴を実際に履いてフィット感を確認します。必要に応じて中敷きなどで微調整します。
【図5:TPEプリント設定のチェックリスト】
設定項目 | 推奨値またはコツ |
ノズル温度 | 220℃〜250℃(メーカー推奨を確認) |
ベッド温度 | 60℃〜80℃で反り防止 |
プリント速度 | 30〜40mm/sでゆっくり造形 |
リトラクション | 控えめ設定で絡み防止 |
冷却ファン | 最初はオフ、後半は低速回転 |
インフィルパターン | ジャイロイド構造などでクッション性向上 |
サポート材 | 柔軟素材対応のサポートで除去しやすく |
これらの設定をしっかり調整することで、TPEの特徴を活かした快適な靴が作れるようになります。最初は失敗することもあるかもしれませんが、試行錯誤を重ねることでベストな設定が見つかるでしょう。失敗したプリントも学びの材料になり、スキルアップにつながります。
材料費は1足あたり約1000円から3000円程度ですが、練習や試作を重ねるとやや増える場合もあります。それでも、自分の手で材料を選びながら靴を作る過程は、非常に楽しい学びの時間となります。さらに、使い終わったTPE素材を再利用する取り組みも進んでおり、環境にやさしいものづくりが可能です。
まとめ
3Dプリンタでの靴作りは、オリジナリティと機能性を両立した魅力的なものづくり体験です。適切な機材とソフトウェア、材料の選定とプリント設定をしっかりと押さえれば、誰でも挑戦できるプロジェクトです。次回は、デザインの工夫やより快適な靴を作るためのテクニック、そしてプロジェクトのまとめ方について詳しく紹介します。ぜひ、世界に一つだけの自分の靴作りに挑戦してみてください!
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